〜 農村女性の活動を通して〜
大根田かほり
私は、2011年8月に約2週間short visitorとして、アーシャ=アジアの農民と歩む会の農村開発の活動に参加しました。私は、発展途上国の女性開発に興味があったので、主に母子保健プロジェクトと農村女性地位向上事業の一つである農村女性によるマイクロファイナンスの活動に参加しました。
母子保健プロジェクトでは、乳幼児の身長体重測定、アーシャスタッフや農村ヘルスボランティアによる母子保健セミナーなどが行われていました。丁度私がプロジェクトに参加した時、生後一年の乳幼児が母乳のみの育児で理想体重になったという成功例に遭遇しました。また、セミナー中でも、女性はただ話を聞くだけではなく、積極的に質問、発言をしていて、その姿がとても印象に残りました。これは、女性が母子保健の知識や情報を得ることで、子育てへの責任感、母親としての自覚、意識、関心が高まっている証だと思いました。
農村女性のマイクロファイナンス活動では、私は青年グループと一緒に農村を訪れ、女性たちに大きいアルミ箱(貯蓄金、活動に必要な道具が入っている)を渡しました。そして、この活動から私は、とても重要なことを学びました。それは、女性開発における男性との協働です。多くの女性開発が女性のみで運営されたり、女性のみほうが意思決定しやすいと考えられていますが、アーシャのこの活動では、男性の参入があっても、女性が主体的となり活動していました。それは、男性の目の前でも、女性が自分の意思で書類に拇印署名をしている姿から感じました。また、男性と協働することで、男性の関心や理解を得やすくなるとも思いました。実際、私の農民男性へのインタビューで、男性は「女性が技術、収入を得ることには賛成です。そうすれば1人でも多くの子どもたちが学校に行けるようになり、農村全体の発展にもつながるからです。」と答えてくれました。男性との協働があるからこそ、このように女性の活動を受け入れやすくなっていると考えます。もちろん、まだまだ北インドの農村も男性優位社会で、女性と男性の協働には、多くの問題や対立があると思いますが、この活動からは女性中心の開発でも、プロジェクトの種類、役割によっては、男性のとの協働で、より有効的な開発になると感じました。
私は、卒業論文でアーシャの母子保健プロジェクトとマイクロファイナンスの活動についてとりあげ、女性が開発を通じて、自信や自尊心を持ち、自らをエンパワーメントする様子、それがより効果的な開発につながること、そして上述したように、女性中心の開発における男性との協働の可能性を論じました。特に、男性との協働の可能性は、実際活動に参加しなければ確信が持てなかった事実です。自分自身で見たこと、感じたこと、考えたこと、経験したこと、分かったことを卒業論文という形で残せたことを本当にうれしく思います。
またこのような貴重な体験をさせて頂き、アーシャスタッフの方々および関係者の皆様には心から感謝しております。さらに、2週間生活を共にした研修生との時間、思い出は生涯の宝物です。1人で参加したのでたくさん不安もありましたが、勇気をだし一歩踏み出したことで、一生忘れられない大きなものを得ることができました。この経験に自信を持ち、今後も失敗を恐れず挑戦していきたいと思います。本当にありがとうございました。
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