設立趣旨書

1. 趣旨
自由化経済が推し進められる中で、アジア諸国の農村地帯において、化学肥料、農薬多用な農業経営により一時的に食糧増産はみられたが、一方で、農村における貧富の格差の拡大、農村女性や弱者の人権無視、小規模農民の自立的農業手段と暮らしの低下、土壌劣化、自然環境の悪化等が指摘されている。その問題の取り組みとして、小規模農民の向上、環境保全に配慮した持続可能な農業や暮らしの普及、弱者の声に耳を傾ける事が必要とされている。その普及は、自由化の波や商業的農業経営に傷つきやすい小規模農民の食糧生産の安定、また、因習、性差別に苦しみながら農業生産の約60%を担っている農村女性の参加を促すことにより、女性の社会的な地位の改善、自立のために有益である。

しかしながら、この様な持続可能な農業開発国際協力事業はアジア諸国の農村で、殆ど行われていないのが現状である。また、日本に於いて農村、農業開発に関連するNGOは、大都市、特に首都圏に集中しているため、地方の市民参加による国際協力があまり活発化していないのが現状である。本会は、敢えて、栃木県内に事務所を設け、地方市民参加を促しながら本会の活動を進める計画である。

本会の発起人となっている田村嘉應、牧野一穗、山形 東、三浦照男は、インド、バングラデシュ、ミャンマー、フィリピン等のアジア諸国において、農村開発関連事業を15年以上携わってきた豊富な経験がある。特に、牧野は、日本に於ける任意団体の支援によりUP州アラハバート農業大学(現:サムヒギンボトム農工科学大学)継続教育学部を中心にインド農業改善普及、継続可能な農業の普及、生活改善、農村青年及び女性リーダー養成、農村女性開発、環境衛生改善、貧しい子供のための識字学級、保育、初等教育事業に関する国際協力に40年以上携わり、日本政府の外務大臣賞を1997年に受ける等、その働きは高く評価されている。

田村は、私費を投じ、財団法人「アジア農村交流協会」を設立してアジア農村開発指導者育成のため資金的支援を15年間行っている。山形と三浦は、15年以上に亘り「アジア学院」の活動を通してアジア、アフリカの農村指導者養成に携わり、また、インド、ミヤンマーでの持続可能な農業開発セミナーを主催する活動を行ってきた。彼らの経験は、市民の力による国際協力を推進する上で、貴重な推進力となると思われる。また、市民参加による国際協力活動は、世界平和への原動力として、今後益々必要になってくると思われる。

よって、本会は、『アーシャ=アジアの農民と歩む会』と命名し、アジア農村の人々の自立と持続可能な暮らしの促進に協力支援し、アジア農民と共に生きるために、特定非営利活動法人として設立し、その目的のために事業の推進を行うことを趣旨とする。

2.申請に至るまでの経過

2003年1月、本会の発起人、牧野一穗と三浦照男が、インドでの持続可能な農業セミナーを主催したときに、このようなプログラムの今後の継続的な活動の必要、日本において農民や市民参加の促進、活動資金の必要を考慮してNPO法人の設立の可能性について話し合った。2003年9月、両名は、具体的にNPO法人設立のための資料及びその可能性を探るための情報を集めた。2003年12月発起人4名、田村嘉應、牧野一穗、山形 東、三浦照男が本会の設立について具体的に話し合った。こうして、2004年2月3日設立総会を開催した。

2004年2月4日
特定非営利活動法人アーシャ=アジアの農民と歩む会
住所 321-0904宇都宮市陽東3丁目7番8号
氏名  田村 嘉應  (当時理事長)