大豆の栽培・加工を通じた農村女性の所得創出
- 栄養改善と地位の向上を目指して -

外務省の日本NGO連携無償資金協力事業「大豆の栽培・加工を通じた農村女性の所得創出 -栄養改善と地位の向上を目指して-」を2020年3月より2021年5月まで実施しました。

農村普及ボランティア(VEV)の育成・農村啓発活動により、農村女性の小規模生産者グループ(SPG)による大豆栽培の普及、収穫した大豆を用いた豆腐の製造、大豆栽培・豆腐製造を通じた農村女性の所得創出、豆腐摂取による栄養改善を目的として活動を実施しました。

2020年3月の事業開始直後、コロナ感染拡大によりロックダウン令が施行され、10月まで農村活動、特に、集会や訪問は困難になりました。その期間も、マキノスクールの施設や農場では、農村普及ボランティア(VEV)の育成研修、大豆栽培の実習を続け、6名が研修を終了しました。

11月以降、農村普及ボランティア(VEV)が9か村を巡回し、農村女性に小規模生産者グループ(SPG)の設立・共同菜園での大豆栽培の奨励、豆腐料理の紹介・試食の提供を行うセミナーを実施しました。また、SPGリーダーや農村女性をマキノスクールに集め、大豆栽培の講義、農場で行っている大豆栽培の見学、豆腐料理の調理法の紹介・試食を行うセミナーを実施しました。

12月より在印日本人の料理人を講師としてマキノスクールに招聘し、インド人に好まれる豆腐料理の開発を行い、農村普及ボランティア(VEV)はその調理法を学びました。また、村の調理請負人や市街地のレストランのシェフをマキノスクールに招き、豆腐料理を紹介したことで、農村での婚礼披露宴など、菜食主義の人も参加する場で豆腐料理が提供されるようになりました。市内のレストランのメニューにも加わり始めています。開発した豆腐料理を紹介するレシピ本やビデオを英語とヒンディー語で制作しました。大豆栽培や組織化の小冊子とともに、 広報ツールとして活用しています。

1月下旬から、9か村の15 SPGにおいて、約2ヘクタールの共同菜園にて在来種と日本種の大豆栽培を開始しました。しかし、コロナ感染拡大により、農村女性による大豆の栽培管理は行えず、また、病害虫や野生動物の被害も甚大で、収穫量はわずかでした。栽培管理法の指導を継続するとともに、10軒の農家とマキノスクールの農場に電柵を設置し、野生動物の侵入を防ぎました。また、その効果的活用を紹介するセミナーを実施しました。

農村普及ボランティア(VEV)は、マキノスクールの農場で収穫した大豆を用いて、手作り製法で豆腐を作りました。セミナー等の豆腐料理に利用するとともに、市街地で開催される朝市に参加し、市民に豆腐料理を紹介し、豆腐を販売しました。2021年5月、大豆加工室が開設し、豆腐製造機等が設置されました。その後は、豆腐製造機を用いて週2回、豆腐を製造し、市街地で開催される朝市で販売し、その収益で豆腐料理のセミナー、農村調査等を行いました。豆腐販売は定着し、定期的な購入者が増えてきました。

農村普及ボランティア(VEV)は、自立的に普及活動、農村調査、啓発活動が行えるようになっており、アラハバード有機農業組合(AOAC)との協働で活動を継続することになりました。市場開拓も、AOACと共同事業として継続します。

外務省の日本NGO連携無償資金協力は、日本の税金を原資とする政府資金の供与を受けるものであるため、大豆加工室の入口・室内などには日本国民からの支援への感謝を明示したプレート、購入した機材には日章旗シールを貼付しました。また、購入した機材は、サム・ヒギンボトム農工科学大学へ譲渡し、農村女性の所得創出のアカデミックな活動に利用されることになりました。